2回目の胚移植当日。
はじめての凍結融解胚移植はまず指定された時間に自宅からクリニックへ電話をかけるところから始まりました。
凍結胚を融解する際に5パーセントくらいの確率で胚が変性してしまい移植が中止になることもあるため、融解が成功したかどうかを電話で確かめてから家を出るようにと塩先生に言われていたのでした。
この日のために仕事を休みにして、2回も筋肉注射を打ったのに、融解失敗したら切なすぎる…
というか田熊は胚のストックが1個しかなかったのでそれが移植もできずダメになったら悲しすぎる…
不妊脳の田熊は5パーセントを引き当てる未来を想像しゲンナリしながら約束の時間を待ちました。
10時。
緊張でえずきそうになりながらクリニックに電話すると、受付の女性のいつもの呑気な声(失礼)が聞こえました。
こちらが
「田熊ですけど…」
とそこまで言ったところで
「ああ!先生から来てくださいと伝えるように言われています」
と受付の女性は呑気な声で(失礼)言いました。
そうですか、と電話を切り、
「来てくださいということは、融解成功したってことだよな???」
とまだバクバクしている心臓を鎮めようとじっとしたまま少し考え、なんだかモヤッとしたままでしたがとりあえずバッグを掴んで家を出ました。