庶民的不妊録

生活が不安定なのに不妊治療沼にはまる夫婦の漫画ブログ

【胚移植1回目11】hCG

胚盤胞移植から14日目の判定日。

会社の昼休みにした採血の結果を聞きに、定時後クリニックへ駆け込みました。

 

気を抜くと口から心臓が出そうになりながら待合室で待つこと5分。

看護師さんに呼ばれ診察室に入って椅子に座るやいなや塩先生の口から聞こえたのは

 

「妊娠してませんでした」

 

の一言でした。

 

「血液検査でhCGというホルモンの数値を見て判断するのですが、今回hCGはゼロということで...」

 

かすりもしていないということでした。

塩先生曰く、そもそも妊娠率35%程度の胚移植で1回目で着床しないのは珍しいことではなく、2回目・3回目の移植で妊娠に至ることはありうるそうです。

ということで次は特に検査などはせずに凍結している残り一つの胚盤胞を移植をしてみることになりました。

 

※ここで書いていることはあくまで田熊の体験談です。

クリニックによって治療の進め方や考え方が異なると思いますので詳しくは主治医や専門の方にご確認ください。

 

【胚移植1回目10】判定日

胚盤胞移植をした日から14日後。

待ちに待った判定日がやってきました。

と言っても田熊は朝から通常通り出社。

人工授精と採卵ですでに休みを取りすぎている感があったためどうしてもずらせない時間指定がある時以外は仕事を休まないようにしようと思い、9時出勤、12時昼休みに会社から徒歩10分のクリニックへ駆け込み採血、会社へ戻ってお昼ご飯をかきこんで仕事、18時退勤してクリニックへ駆け込み結果を聞くというハードスケジュールを遂行することになっていました。

 

採血から1時間半後には結果が出ているのに6時間も仕事をしながら待つというのは精神がもたないのでは?と不安に思いました。

が、実際に採血から帰ってきて急いでサンドイッチを飲み込み午後の業務をこなしていると、休みなく駆けずり回っている身体的忙しさと「もう結果が出ている!」という緊張感からかなぜかドーパミンがドバドバ溢れ平常時よりやたらと仕事が捗りました。

【胚移植1回目9】BT7の苦悩

初めての胚移植から7日がたった頃。

田熊は悩んでいました。

 

田熊のクリニックでは判定日は移植から14日後と言い渡されていたのですが、SNSを見ていると7日後や10日後に判定日という方も少なくないのでした。

7日目にはもう着床してるかしてないかある程度わかるということ?

ということは、妊娠検査薬で反応が出るってこと!?

 

判定日には血液検査で妊娠判定をするクリニックが多いようなのですがその判定日を待たずに市販の妊娠検査薬で陽性反応が出るか否か試してしまうことを「フライングする」と呼び、着床している場合は7日目くらいには陽性反応の赤い線がうっすら出るらしいとネット上で語られているのでした。

このフライング検査、7日目に検査薬が真っ白でも後のクリニックでの判定では陽性というパターンもあるらしく、結局は医療機関で調べるまで確定ではないので、多くの移植経験者の方がフライングをするかしないか一度「うおお」と悩んでから各々決断を下しているようでした。

 

例に漏れず田熊もフライングするかしないかで迷い仕事中ネットサーフィンの手が止まらず、悩みすぎて脳の血管が切れそうでした。

家に帰り妊活初期・卵管造影検査時の陰性証明のために買った妊娠検査薬の残りの箱を10分ほど凝視していましたが、結局「怖くてできない」というところに着地しました。

【胚移植1回目8】ストレス


胚移植後の過ごし方について、塩先生からは

「何も制限はなし。普段通りの生活を」

と言われました。

そう言われたのだから普段通り過ごせばよいのですが、そこは不妊脳。

 

胚移植後 過ごし方」

胚移植後 着床 何日目」

「着床時期 やってはいけないこと」

 

等々で検索をかけまくりました。

どうやらクリニックによって胚移植後の過ごし方の指導内容がだいぶ異なるようでした。

普段通りの生活を推奨するところもあれば、運動や自転車など身体に振動が加わることをしないのはもちろん、掃除もダメ、立ち仕事もダメ、できれば移植後3日は動かず安静に過ごすようにと"お姫様生活"なるものを送るよう指導するクリニックもありました。

労働者である田熊はもちろんお姫様生活など送れるはずもなく、午前中に移植してその日の午後から仕事をしていたわけですが、買い物袋を運ぶ時、階段を登る時、少しでも下腹部に力が入ろうものなら

「今ので卵がダメになったのでは!?」

とドギマギして気が気ではありませんでした。

 

「ストレスフリーに過ごす」が絶対いいに決まってるのに、気にしすぎが強大なストレスとなりました。

 

【胚移植1回目7】ピル

胚移植翌日から判定日までの2週間、田熊は塩先生から、子宮内膜を厚くし着床をサポートするための中容量ピルを飲むよう言われました。

薬の説明の際、

「人によってはこの薬を飲むとすごく気持ち悪くなってしまう場合があります」

と普段塩対応の塩先生が珍しく眉間に皺を寄せて言いました。

すごく気持ち悪くなるか、全くなんともないかのどちらかに分かれるそうで、すごく気持ち悪くなる場合はその薬を中止して別の薬に変えるということでした。

あの塩先生がここまで言うのだから副作用はとんでもないものなのだろうと心して診察室を後にしました。

 

薬の服用開始日。

田熊は寝る前の準備を全て終わらせ、おっくんに薬の副作用のことを充分に説明し、意を決して小さな錠剤を水で胃に流し込みました。

30分、そのまま食卓で静かに過ごしていましたが体調に変化はなし。

寝室へ向かい、念の為ベッドの横にゲロ桶を設置して就寝しました。

目覚めるといつも通り次の日の朝になっていました。

なんならちょっと爽やかな目覚め。

 

そのまま出勤しましたが体調におかしなところはなく、つまり田熊はラッキーなことに薬を飲んでも全くなんともない方に入れたのでした。

 

【胚移植1回目6】ジンクス

はじめての胚移植は滞りなく終わり、田熊はその足でマクドナルドへ向かいました。

 

妊活界隈で流布されている、移植後にやると着床するジンクスなるものがあり、その中でも最も簡単な

「マックポテトを食べる」

を実行するためでした。

 

不妊治療で精神が追い込まれていない健全な人なら

「マックポテト食べて着床するならハナから体外受精なんてしてないわ」

と一蹴するかもしれませんし田熊も冷静になるとちょっとそう思いますが、そういう風情のない思考は一旦置いておいて、3回も採卵してやっとジンクスを試せる時が来た喜びを密かに噛み締めながらマックポテトを齧るのでした。

 

【胚移植1回目5】連携プレイ

塩先生が到着すると胚移植はあれよあれよと進みました。

 

看護師さんが田熊の腹にエコーの器械を押し付け、塩先生が田熊の股の奥をゴイゴイ広げて何か(たぶん管)を奥まで入れ、なんかちょっと「しん…」と5秒くらいの間があったのち、塩先生が唐突に

 

「オッケー」

 

と大きめの声で言ったと思ったら隣の部屋の扉がガラッと開いてさっきの胚培養士さんが入ってきました。

おそらく卵を子宮に戻したのだと思いますが仰向けの田熊からは見えないしお腹の中も何も感じず、股の奥を広げていた器械が抜かれてはじめて

「あ、終わった?」

と気がつきました。

 

緊張で力が入っていたらしく、ふと右手を見ると胚培養士さんにもらった胚盤胞のチェキがクシャクシャになっていました。

 

その後は人工授精のときと同じで、足を閉じて5分ほど安静にしたのちいそいそと服を着て帰りました。