庶民的不妊録

生活が不安定なのに不妊治療沼にはまる夫婦の漫画ブログ

【採卵5回目5】様子見

採卵から2日目の夜に熱が39℃台まで上がりましたが翌日には36℃台まで下がりました。(謎)

採卵から5日後、つまり発熱から3日後に卵の受精確認にクリニックへ行くことになっていましたが、これは無理なんじゃ…とダメ元でクリニックに問い合わせると意外にも

「熱が下がっていて、コロナもインフルも陰性なら来ていただいて構わない」

との回答をもらい、とりあえず行くことにしました。

 

一度高熱が出たダメージなのか怠い身体を引きずりながらもかすかな希望を胸に聞いた結果は

「1個だけ受精して分裂が進んでるけどめちゃめちゃゆっくり」

というなんとも微妙なものでした。

 

通常、採卵から5日目に胚盤胞ができていればその日に新鮮胚移植か凍結かを検討、胚盤胞ができていなければ終了という流れです。

6日目や7日目の胚盤胞は5日目胚盤胞より妊娠率がだいぶ低いので、胚盤胞がたくさんできる人は5日目で胚盤胞にならない胚は破棄することが多いそうです。

しかし前回の採卵で胚盤胞ゼロだった田熊は今回もゼロだったらもうなんかいろいろ無理かもしれないと心の隅で思っていたので、そのめちゃめちゃゆっくりの胚を捨てることができませんでした。

 

採卵5回目にしてめちゃめちゃゆっくり分裂してる卵が胚盤胞になるかどうかあと1~2日様子を見てみるという初のイベントが発生しました。

 

※2023年5月頃の話です。ここで書いていることはあくまで田熊の体験談です。治療の進め方や考え方はお医者さんによって様々ですので、専門家や担当医の方にご確認ください。

【採卵5回目4】熱

5回目の採卵では卵子が7個とれ、全て顕微受精にまわしてもらいました。

採卵翌日は可能ならば安静にしていたいタイプなのですがその日は休めない仕事があり出勤。

しかも県境を跨いで都心へ。

慣れないギュウギュウの地下鉄ではもちろん座れず、不妊治療しながら会社員をしていることを若干後悔しながらその日の仕事を終えました。

 

その翌日はいつもの仕事場で省エネモードで事務作業だったのですが、午前中から違和感を察知しました。

 

すごくだるい...

 

すごくだるいうえに顔が熱い。

これは完全に発熱している...!!

 

時は2023年5月。

新型コロナが再流行しているのに5類に移行しマスクを外す人がちらほら出始め、同時期に季節外れのインフルエンザが大流行している物騒な時期でした。

すぐさま会社の向かいの病院に駆け込み熱を測ると38.3℃。

終わった...と思いながら検査を受けると予想外にもコロナもインフルも陰性でした。

 

とりあえず熱はあるので会社をそのまま早退し、家で大人しく寝ていましたがその日の夜には熱が39.4℃まで上昇。

もうここで今周期の移植はないな...と諦めモードになっていました。

 

具合の悪さに加え、採卵翌日に都心に出向く仕事を断れなかった自分への自己嫌悪で凄まじく落ち込みました。

【採卵5回目3】麻酔?

2023年5月。

採卵のため、田熊は処置台に寝転がり天井を眺めていました。

いつものように痛み止めの薬が点滴で入れられると頭の中がモヤがかったようになりました。

そしていつも通り塩先生が処置室に入ってくると静脈麻酔を入れる合図が出されました。

 

今回で、採卵ももう5回目。

5回目て、多くない?

普通そんなやる?

いや採卵する時点で普通枠からは外れてるのだけども。

 

いつも通り意識がなくなるのをじっと待っていました。

が、長い。

塩先生と看護師さんもじっとして田熊の意識が落ちるのを待っているのを感じますが、田熊の意識は、ある。

どうしよう、今までこんなことなかったのに。

麻酔が少ないのかしら。

とにかくまだ麻酔が効かないことを言わなくちゃ!

田熊はモヤモヤする意識の中、力をふりしぼって

「すみません!麻酔が効いてないんですけど!」

と声に出して訴えました。

すると隣にいた看護師さんから

「手術もう終わってますよ」

と返ってきました。

 

はて?

と自分の身体に意識を向けると、採卵前にはガニ股に開いた状態だったはずの足はまっすぐにぴったりそろえられ、タオルが巻かれていました。

 

麻酔が効いていたことにも気がつかないという新感覚を5回目にして初体験したのでした。

 

 

 

【採卵5回目2】モチベーション

※2023年5月ごろの話です

 

採卵周期中のおっくんの隠れ飲酒が発覚し、怒り狂った田熊が

「子ども欲しいんじゃないの!?」

と問い詰めると、おっくんは小さな声で

「そうだけど・・・こんなにできないものだと思ってなかったんだよ」

と言いました。

 

その言葉を聞いて、いや田熊も同感だ、と思いました。

 

しかもおっくんはまだ子ども好きだしはじめのうちは「子ども欲しい」という意思があったかもしれませんが、改めて自分のことを考えてみると別に子ども好きじゃないし、自分の子どもが欲しいかというとあんまり思ったこともないし、それなのに何回も手術して何十本も自己注射して何万円もお金払って、一体自分はどうして不妊治療をしているんだろうか・・・?

 

その日から、治療が長引く前に妊娠できてしまっていたら考えなくて済んだであろう思考に頭の中が支配されました。

次の採卵で胚盤胞ができなかったらもう治療を続けられないかもしれない、と思いました。

 

 

【採卵5回目1】禁酒


採卵④の胚盤胞ゼロ結果の精神的ダメージが思いのほか大きく治療を休みたい気持ちはあったのですが、あと半年と迫る35歳の誕生日への焦りの方が勝ち、休憩を入れずまた採卵周期に入りました。

 

前回同様卵の育ちがゆっくりで、注射を追加するごとに田熊の心の余裕はなくなっていきました。

そしてついに事件が起きました。

 

田熊は採卵周期にはおっくんに禁酒を言い渡していました。

精液検査では男性不妊ではないと言われたものの運動率の低さが気になっていたし、精子の質を可能な限り良くしてほしかったからです。

 

当初は嫌がっていたおっくんも、採卵周期に田熊がいかにして卵子の質をあげようと努力しているかを説くと採卵周期の間だけでも禁酒することを納得してくれたのでした。

 

5回目の採卵に向けてホルモン補充を開始して10日ほどたったある日、田熊がおっくんの作業部屋のドアを開けるとおっくんがパソコンのモニターの裏にあきらかに不自然に何かを隠しました。

田熊はすぐさまモニターの裏を確認。

そこにはウイスキーの入ったコップが置いてあったのです。

 

胚盤胞ゼロを避けるために食事、運動、睡眠、ストレス全てに気を回しおっくんのサプリも管理し万全の態勢で挑んでいるつもりでした。

ホルモン補充も後半にさしかかり、いつ採卵日が決定してもおかしくない。

そんな中発覚したおっくんの隠れ飲酒に田熊はブチ切れ、おっくんに酒瓶の中身を流しに棄てさせました。

 

 

 

 

【採卵4回目4】手芸屋


採卵④から5日後。

田熊は受精確認のためクリニックを訪れました。

 

採卵では最終的に8個の卵が採れていました。

採卵①②では胚盤胞ゼロでしたが卵子活性を行った採卵③では胚盤胞が2個できたという成功体験もあり、今回も卵子活性を行うので大丈夫だろうと幾分落ち着いて結果を待っていました。

 

ですので、胚盤胞ゼロの結果を聞いた時、なんで?と思いました。

 

そもそも8個採れた卵のうち顕微受精に適した成熟卵は1個だけで、その一個は受精はしたものの初期胚で分割が止まってしまったとのことでした。

これにて採卵④は終了。

リセットが来たらまた次の採卵に向けて卵を育てましょうという説明で終わりました。

 

診察室を出て待合室で会計待ちをしているとき、通りがかる看護師さんも受付の事務員さんも待合室にいる他の患者さんも、みんな心の中で田熊のことを哀れんでいるのではないかと錯覚するほど自分が惨めで恥ずかしくて消えてしまいたくなりました。

 

その日はクリニック終わりに近くの手芸屋さんへ向かいました。

少し前に購入したミシンでバッグを作るために生地を探しに行くから帰りが少し遅くなるとあらかじめおっくんにも言っていたのでした。

沈んだ気持ちのまま手芸屋さんへの道を歩いていましたが、到着する前にまさかの涙が出てきてしまって、これではお店に入れないとしばらく駅ビルのトイレで顔を拭いていました。

【採卵4回目3】水

4回目の採卵直前説明。

 

もはや説明していただく必要もないくらいすべて頭に入っていましたが、決まりなので一点一点確認しながら看護師さんの説明を聞いていました。

その日の看護師さんは初めて会う方で、

「田熊さんは静脈麻酔で気持ち悪くなったりします?」

と聞かれました。

毎回めちゃくちゃ気持ち悪くなるし吐くこともあると言うとその看護師さんは

「そしたら前日の絶飲の時間ギリギリまでたくさんお水を飲んでください」

と言いました。

あの気持ち悪さは水を飲むなんて簡単なことで解消できるものではないだろうと思いましたが口には出さず、

「やってみます!」

と答えました。

 

採卵前日。

試して損はないだろうと「たくさん水を飲む」を実施してみることに。

22:00に一旦就寝してから23:30のアラームで起き、絶飲開始の0時までの間に眠さと戦いながらスポーツドリンク500mlと白湯を1杯飲みました。

 

迎えた採卵日。

いつも通りの順序で処置台に寝て麻酔で落ち、目を覚ましました。

リカバリールームに移動し横になり、しばらくしてから田熊は思いました。

 

気持ち悪くない…

 

なんと、いつも採卵後に感じていた頭がグラグラする感じやどうにもならない二日酔いのような症状が無いのです。

疲れ切った感覚はありましたが、あきらかに気持ち悪さが薄い…!

 

その日は帰宅後になんと蕎麦を食べることまでできました。

いつもはゼリーを3口飲んですぐ寝ていたというのに。

 

たくさん水を飲む法(?)を教えてくれた看護師さんに大感謝です。