人工授精1回目の日の朝。
起きてすぐにおっくんの枕元に採精カップ、アルミホイル、タオルを置きおっくんを叩き起こして田熊はなんとなく気合入れてシャワーを浴びました。
仕事は午前休しか取らなかったのでいつも通りお弁当を作り、朝ごはんを済ませました。
ほどなく仕事部屋から出てきたおっくんからタオルとアルミホイルでつつんだブツの入った採精カップを受け取りました。
通勤バッグに入れようとして一瞬躊躇。
お弁当と水筒と精液が同じ空間に…
採精カップだけを入れられるような素敵なサイズのバッグを持ち合わせておらず、結局すべてを通勤バッグに詰め込み家を出ました。
「みなさん!いまわたし、精液持ってますよ」
と心の中で告白しながら、通勤する人々と共に電車に揺られてクリニックへ向かいました。