はじめての採卵が受精卵ゼロという残念な結果に終わった田熊。
クリニックを後にしておっくんと合流し、昼食をとりにハンバーガーショップへ入りました。
ジャンクフードを食らいながら田熊はおっくんにクリニックで説明されたことを話しました。
結論から言って移植ができなかった、と話すと「え、そうなの?」としゅんとした様子で肩を落とすおっくん。
次に、理由として最もセンシティブなパート「元気な精子が一匹も上がってこなかった」ことを恐る恐る告げると、おっくんは急にペラペラと喋り出しました。
「暑かったから、運んでいる間に死んじゃったのかも」
「家出る前に車の冷房をつけてキンキンに冷やしてから行くべきだったのかも」
「夏の間は採卵やめとく?」
季節は確かに7月。夏。
ですが40度超えの猛暑日などではありませんでしたし、採精カップはちゃんとクリニックの指示通りにアルミホイルとタオルで巻いて、さらに保冷バッグに入れて車で運んだのです。
精子が夏に運んで全滅するのがデフォルトなら夏の体外受精は実施されないはず。
けれどそんな話聞いたことありませんでした。
おっくんもしや、自分の精子が残念であることを受け入れられないでいる...!?
「車の窓からの熱が〜」
と喋りつづけるおっくんに、田熊はクリニックでもらった明細を差し出しました。
するとおっくんは明細を凝視し、口を閉ざしました。
そこにはまごうことなき『男性不妊』の4文字が記されていたのです。
採卵①の惨敗を経てはじめて、やっと田熊とおっくんは精子の改善努力に舵を切ったのでした。
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