庶民的不妊録

生活が不安定なのに不妊治療沼にはまる夫婦の漫画ブログ

【気晴らし旅11】足湯

岩鬼姫神社をお参りして大吊橋を戻って来た頃には肩も足も溶けた雪が染みてびしょびしょになっていました。

大吊橋の麓に「足湯カフェ」の文字をみつけ、田熊とおっくんは吸い寄せられるように建物に入っていきました。

 

文字通り足湯に浸かりながらお茶を飲めるカフェで、テラス席に座りついさっき自分たちが必死に歩いていた雪山と大吊橋を眺めながら温かいコーヒーをいただきました。

 

雪道を降りて疲労した足を温泉で温めコーヒーのカップを両手で包み暖をとっているとこの上ない多幸感に包まれて、ふと、この先このままでも充分楽しいのでは?と思いました。

 

ダイバーシティを声高に主張する時代になったとはいえ、結婚をしている男女は子供をこさえるのが世の常という価値観が自分の中ではおそらく根付いていて、さらにそれをこなそうとしたら大抵の人たちは難なくできるのに自分はお金をかけても身体を酷使しても全然出来ないということに劣等感が積み重なっていって、不妊治療が長引くにつれなんとなく「自分は不幸」と感じてしまっていた気がします。

 

でも、子供ができなかったとしたら、いま不妊治療に使い込んでいるお金が浮くわけなので、ひと月に一回ふたりでちょっとした旅行に出かけたり、気に入った土地に移住したり、趣味を極めたりと楽しみを見つけながら生活することはできそうで、子なしだからと言って別に取り立てて惨めで不幸せな感じになりそうではないよな、としみじみと考えたのでした。

この時、元はなんとなくで始めた妊活にいつの間にやらがんじがらめにされていた脳が、パッと解放された気がしたのでした。