庶民的不妊録

生活が不安定なのに不妊治療沼にはまる夫婦の漫画ブログ

【妊活のはじまり①】実母からの圧


2020年6月、世がコロナ禍になってから半年が経っていました。

田熊と夫(以下おっくん)は仲良し二人暮らし。

結婚してから2年が経とうとしていましたが特に喧嘩するでもなく、まあまあ平和に暮らしていました。

 

そんな折、10カ月くらい会えずにいた田熊母から突然の電話。

母「元気?」

田「うん元気だよ」

母「仕事はどう?」

田「コロナで会社が倒産しそうだよ」

 

田熊は正社員フルタイム勤務。

コロナ失業が相次ぐ中ありがたいことに職を失わずにいられていました。

けれども会社の経営がとんでもなく厳しいことは一目瞭然。

なんだかもう田熊の給料を捻出していただいているのが申し訳なくなるほどでした。

しかも田熊は社内の人間関係につまずき鬱状態に追いやられ、もう限界だ辞めますと会社に報告した矢先のコロナ禍、自宅待機、勤務場所変更、関係最悪の人間と距離ができ精神を持ち直しなんとなく勤務継続という状況でした。

持ち直したとはいえ、一度辞める決意をした仕事に情熱はなく、惰性で続けているようなものなのでした。

 

そんな田熊の心情を親の勘で察知したのか母は言いました。

 

「じゃあさ、子供作れば?」

 

出た!実母からの圧!

結婚するまでは会うたびに「いい人いないの?」を真正面から真っ直ぐに目を見て聞いてくるザ・昭和の母親な田熊母。

結婚して1年は結婚式の準備でせわしなくしていた田熊を横目に「まだ時期じゃない」とそのセリフを温めていたのでしょう。

結婚式を終えた直後にコロナ禍突入。

正月・GWに実家へ帰ることもなくのらりくらりと新婚気分を引きずる娘に痺れを切らし近況報告を装ってハッパをかけるために電話してきたに違いない。

 

さっそく圧にけおされた田熊はどもりながら

「う〜んそうね〜でもね〜お金がね〜」

と歯切れ悪くなんとか断言を逃れようとするも、母、

「お金はどうにでもなるよ多分。まあ、だから、子供作れば?」

 

二度目...!

 

実母の口から飛び出るそのセリフに完全に根負けした田熊は

「お、おん...」

と絞り出すような相槌を打ち電話を切りました。

 

昭和母による娘への進言にたびたび気圧されながらも、これまで進学も就職も結婚のときも自分のペースを保ってきた田熊。

だったのですが、なぜかこの時ばかりは母の言葉が頭の片隅にこびり着いたのでした。