笠森観音を訪れ子授け楠の穴をくぐるというメインイベントを終えた田熊とおっくん。
おそらく本当のメインである大岩の上にそびえる観音堂に登り、ちゃんとお参りをしました。
階段を下って外に出たところに次なるイベント、土産物屋がありました。
この土産物屋さんで売っている黒招き猫のご利益がすごいと噂なのです。
ここまで来たのだから買わなければ…という心持ちで土産物屋に近づいて行きましたが、軒先でハタと立ち止まりました。
圧がすごい…!
名物・黒招き猫の置物と、それ用の小さな座布団・屏風などの付属物、さらには黒招き猫が描かれた手ぬぐいや巾着袋、御朱印帳などの開運グッズが所狭しと並べられていました。
隣に立つ非科学的なものにお金を払いたくない精神の持ち主おっくんが「いらない」に100%振り切れていることを察する田熊。
しかしおっくんは空気を読んで
「熊ちゃんがほしいなら買いなよ」
と優しさを発動。
黒招き猫の購入は田熊に一任されてしまいました。
正直、家にあまり物を増やしたくない田熊は置き物のたぐいが全然欲しくないのでした。
ただしこれはただの置き物ではなくご利益のある黒招き猫。
笠森観音といえば黒招き猫ってくらい有名らしいですし、ご利益を得るためにここまで来たわけですし、じゃあ、小さいのを1匹だけ…
と子招き猫に手を伸ばしかけたところで店の奥から出てきたおじさんに話しかけられました。
「黒招き猫はペアじゃないと力を発揮しないみたいだね〜」
小さいの1個でご利益を得ようとした心のさもしさを指摘された…!?
その場で固まりました。
「願い事はなんですか?願い事で座布団の色が違うからね」
とおじさんは小さい座布団を出し始めました。
黒招き猫用の座布団は赤や金、緑、青などいろんな色があり、願い事によって色を選ぶのだそう。
黒招き猫のペアが1000円、座布団が1枚500円。スペシャル座布団は1000円。
お土産物の値段としては決して高くはない、けれど、ぼんやりしてたらオプションがどんどん追加になっているような…!
ジリジリと後ずさり、「いいの?」と小声で問うおっくんに細かな頷きだけで返事をし、スッとその場を後にしました。
商売トークを楽しむ心(とお金)の余裕のない庶民なのでした。