採卵周期の田熊は3〜4日おきにクリニックへ通い、毎日自己注射をし、ホルモン補充の影響により万全じゃない体調で仕事をする日々。
対しておっくんのすることといえば採卵当日に精子を出すのみ。
この労力の不公平感が気になってしまった田熊はある日、おっくんに自己注射の様子を見てもらうことで少しでも精神的負担をシェアしようと思いつきました。
そばにいてもらうことでこちらの緊張もやわらぐかもしれない、と思ったのは大間違い。
田熊が注射器のキャップを抜いて針をあらわにしたところからおっくんは
「なっが〜!」
「すっご〜!」
と興奮しだしました。
お腹に針を突き立てる場面では
「痛い!痛い!」
と絶対おっくんは痛くないくせに「痛い」を連呼し、
針がお腹の中を突き進んでいく時には田熊が集中して息を止めているのに
「そんなに入れるの?途中までじゃダメなの?」
と質問を投げかけ、
お腹から針を抜く時にも
「うわ〜、う〜わ〜」
と終始大騒ぎしていたのでした。
二度とおっくんの前で自己注射はやるまい、と心に誓いました。