はじめての採卵で採れた卵は2つ。
この2つを精子と受精させるのですがここからも選択肢がいろいろあり、田熊は麻酔の影響で最高に具合の悪くなった頭で何度か思考を放棄しそうになりながらも塩先生の解説を踏ん張って聞き続けました。
まず、体外受精とは採卵した卵の周りに精子を泳がせて、精子に自力で受精させることを言うそうです。
これを「ふりかけ法」と呼ぶのでこの時以降田熊はご飯にふりかけをかける時に頭の片隅に精子がチラつくようになってしまいました。
精子の元気がなかったり数が少なかったりなんらかの受精障害があり自力での受精が難しい場合には、より抜きの精子を一匹針で直接卵子に注入する方法をとります。
これを顕微授精と呼ぶそうです。
10個以上の卵胞が育っていた田熊は最終卵胞チェック時、採れた卵は全部体外受精で受精させるか、それとも採れた卵の半数を体外受精、半数を顕微授精で受精させるかの選択ができると説明を受けていました。
体外・顕微を併用すると、何らかの受精障害があった場合に体外で受精させた分が全滅しても顕微で受精させたものが生き残る可能性があります。
ただ採れる卵が多いほどお金がかかり、さらに顕微授精の方が体外受精よりお値段が高いので、お金の問題がまずあること。
併用しておいて体外受精させたものが全部受精成功した場合は「お金かけて顕微まですることなかったじゃん」という気持ちになりうること。
さらに体外受精は自然だからいいけど顕微授精は人為的なので抵抗があるという人もいるので夫婦間の価値観についても話し合って決めてくださいと言われ、田熊とおっくんは体外・顕微併用でお願いするつもりで心を決めていました。
が、それは卵がたくさん採れた時の話。
初回の採卵でもある程度数があれば半数を体外受精させてみて受精障害のあるなしを判断することができるようなのですが2個では判断材料として足りず。
またこの時点で顕微一択にするための決定的な不妊要因が見当たらないため、体外・顕微併用の選択肢はなくなり、初回はふりかけ一択となりました。