2回目の採卵で採れた9個の卵子は体外受精と顕微受精で各々受精するも一つも胚盤胞までたどり着きませんでした。
田熊に落ち込む隙を与えず塩先生は次の採卵スケジュールの話を始めました。
どうやら受精卵たちは受精して割とすぐに分割が止まったらしく、その場合は卵子の質の悪さが原因と考えられているというようなことを塩先生は言いました。
さんざんおっくんの精子を疑ってきたけど、わたしが原因だったんかーい、とショックを受ける田熊に塩先生は
「次は卵子活性化を行いたいと思います」
と聞き慣れないワードを発しました。
パワーのない卵に手を加えて活性化し分割を起こさせる卵子活性という技があるらしく、田熊の通うクリニックでは卵の中のカルシウムイオンを拡散させることで活性化させる方法をとっているのだとかそんなようなことを言っていたけど難しくてよくわからないので専門家にお聞きください。
とにかく次の顕微受精では(いつのまにか顕微一択の民になっていた)卵子を活性化してみますという説明で、その日は終わりました。
2度目の採卵も成果ゼロで終わった田熊でしたが不思議と絶望感は薄く、むしろ
「『もう打つ手はありません』とか言われるかと思ったらなんか高度な技紹介されてよかった…」
とほっとしていたのでした。
※2022年9月ごろのお話です。
※ここで書いていることはあくまで田熊個人の体験談です。クリニックによって治療方法や方針は異なると思いますので詳しくは専門家にご確認ください。